HOSPITAL NETWORK RESPONSE / 詳細教科書

何を見て、
通すか、止めるか。

申請の証拠を規則に照らし、必要な通信を届ける。病院を守る判断を、一つずつ学ぶための教材です。

このページは独立した学習用資料です。当直の答え合わせ・未審査申請の情報・自己複製実験台はゲーム内の「教科書」で確認できます。ゲーム内の教科書を開いている間は当直が一時停止します。こちらのページだけを開いても、ゲームの時計は止まりません。

01 / PRACTICE

まずは時計なしで、1件ずつ。

  1. ゲームへ戻り、開始前に「敵の動作」から時計なし演習を選びます。
  2. 申請に表示された6項目を、各カードの規則と照合します。全て満たすなら通過、違反や証拠不足があれば遮断します。
  3. 判定後の調査ログで、違反した項目と理由を確認。「次の演習へ」で進めます。固定の16件を、時間制限なしで練習できます。
  4. 慣れたらリセットし、適応型で60秒の当直へ。到着から14秒(当直終了まで)に判断しない申請は自動通過します。

時計なし演習では隔離・根本修復は使いません。適応型は直近の判断と防御状況に応じて通信を選ぶため、順番の暗記より毎回の照合が役立ちます。「CSV順(練習)」は固定順を時間付きで試すモードです。

確認メモ・カードのチェックは自分用の印です。採点や正解の表示ではありません。キャラクター、送信元端末名、通信の目的だけで安全性を決めないようにします。

02 / SIX CHECKS

6項目、全て満たせば通過。

技術所見A・Bと、主体・権限・送信条件・処理量を一緒に見ます。一つでも違反・欠損があれば遮断します。この演習では、模擬の院内検査装置が付与した所見を信頼できる証拠として扱います。

共有の審査データを読み込んでいます…

役割ごとにできる操作

展開後の容量上限

容量は整数MB、上限ちょうどまで許可します。圧縮ファイルの小ささではなく展開後の値を見ます。情報区分や承認フラグが不明なら、都合よく正常とは解釈しません。

03 / COMPARE THE EVIDENCE

違うのは、どの証拠?

以下は学習用の例です。各組は他の5項目を正常に揃え、1項目だけ変更しています。判定と理由はゲームと同じ関数から生成しています。

技術所見が正常でも、申請全体が正常とは限りません。

主体不一致、権限外操作、情報の送信条件違反、容量超過はそれぞれ独立した違反です。たとえばSMBの検査値が正常な申請で情報の送信条件だけが破られていた場合、違反は「情報送信規則の違反」であり、SMBの脆弱性を確認したことにはなりません。

04 / TECHNICAL FINDINGS

11種類の弱点と、その見分け方。

各カードの二つの技術条件に加え、共通の4条件も照合します。ここで示す二つの所見だけで、実システム全体の安全性を保証するものではありません。実際の攻撃文字列や実行手順は扱いません。

各カードの「主な模擬被害」は、技術所見A・Bの違反に対応する分類です。共通4条件だけに違反した場合は、実際に違反した条件に応じて被害を分類します。現実には一つの弱点が複数の被害につながる場合があります。

05 / CONTAINMENT

1件を止める。時間を作る。経路を直す。

遮断

目の前の申請を止める

不正申請を遮断すれば、その申請からの侵入を防ぎます。次に同じ経路で届く申請も審査が必要です。正常申請を誤って遮断すると、予約が8件延期されます。

一時隔離

8秒の猶予を作る

選んだ領域の継続被害・複製・審査期限を8秒間止めます。当直中2回まで。一部業務の停止により予約が4件延期されます。解除後も未解決の侵入は残ります。

根本修復

同じ経路の侵入を防ぐ

全4領域のうち、当直中に修復できるのは2領域まで。同時に1領域、完了まで10秒です。完了すると領域内の既存の核を除去し、以後の不正申請を自動拒否します。残りの領域は個別審査で守ります。

隔離・修復をしても、既に生じた閲覧不能・漏えい・改変・予約延期は戻りません。10秒の修復は複数の対策をまとめたゲーム上の抽象で、現実の修正所要時間ではありません。

06 / IMPACT

守るのは、診療を支えるデータ。

模擬カルテ100件と模擬予約100件に対する累積被害を表示します。各指標は0〜100件。同じカルテが複数の被害を受けるため、カルテ被害3種の合計は100件を超える場合があります。

可用性 / 閲覧不能
必要なカルテを参照できない。
機密性 / 漏えい
許可されない相手へ情報が渡る。
完全性 / 改変
正しく保つべきデータが書き換わる。
業務への影響 / 予約延期
検査結果の未着や業務停止で診療が遅れる。
  • 不正申請の許可・自動通過:対応するカルテ被害が6件増加。検査領域では3件と予約延期5件。
  • 未解決の侵入:4秒ごとに侵入1件あたり主なカルテ被害が1件増加。検査領域では予約延期も1件増加。
  • 正常申請の許可:必要なデータを届け、被害の追加なし。

継続被害の計算に使うのは未解決の侵入数です。盤面の赤いセル数を被害件数へ直接換算しているわけではありません。全申請を正しく審査すれば、被害0件を目指せます。

07 / CELLULAR AUTOMATA

複製は、隣接規則から生まれる。

背景は通常のLife(B3/S23)。赤い脅威はHighLife(B36/S23)です。周囲8セルを数え、全セルを同時に更新します。

Life / B3/S23

死んだセルは隣接3個で誕生。生きたセルは隣接2個・3個で生存し、他は死滅します。

HighLife / B36/S23

誕生条件に隣接6個が加わります。生存条件はLifeと同じです。この違いによって、特定の12セル配置が自己複製します。

十分な空間に置いた12セルの核は、12世代で2核、36世代で4核になります。上の図はゲームと共通の規則で初期配置から計算したスナップショットです。コピーを別途追加していません。途中では形やセル数が変わります。

受付は単核、電子カルテは鏡像、検査は離れた双核、予約は6セルの前駆体から始まります。ゲームは96×60の独立した層を申請ごとに使い、境界を越えたセルは失われます。動かせる実験台はゲーム内教科書にあります。

セルの増殖は、未解決の侵入を可視化する表現です。WannaCryや実在の攻撃がHighLifeの規則で広がるわけではありません。

08 / SOURCES & CONTEXT

史実と、この演習の境界。

2017年5月のWannaCryは英国NHSの診療にも影響しました。英国会計検査院の調査では、中止された診療予約は推計19,000件超、5か所の救急部門で患者の受け入れ先が変更されました。同報告書は、NHS Digitalが患者データの侵害・盗難はなかったと考えていることも記しています。NAOの調査 ↗

この教材でWannaCryと関連付けるのはSMBv1の脆弱性です。残る10種類は追加の仮想シナリオです。模擬母数・被害量・60秒・修復時間は演習の仮定で、NHSの患者データ盗難を再現した教材ではありません。実APIへのアクセスや実攻撃は、この教科書から行いません。

各技術所見の元資料はカード内のMicrosoftまたはCWEへのリンクから確認できます。所見・条件・例の判定は、ゲームと共有するCSVと審査規則を参照しています。